「簿記2級を取ったら会計事務所に転職できる?」
「仕事内容は経理と何が違うの?」
結論から言うと、会計事務所・税理士事務所は簿記2級+未経験で最も転職しやすい職場の一つです。
税理士転職日誌の調査によると、「未経験OKの会計事務所」の求人数は、
簿記2級保有者向けが簿記3級保有者向けの5倍以上にのぼります。
この記事では、簿記2級合格者の立場から、
会計事務所転職の仕事内容・メリット・デメリット・事務所の選び方を正直に解説します。
会計事務所・税理士事務所の仕事内容【7つの業務】
会計事務所の仕事は「企業や個人事業主の経理を代行するサービス」です。
クライアントから依頼を受け、仕訳の起票から税務申告書の作成まで一連の業務を提供します。
1. 記帳代行(仕訳の入力)
未経験入社時に最も比重が大きい業務です。
クライアントから受け取った領収書・請求書・通帳コピーなどをもとに、会計ソフトへ仕訳を入力します。
簿記2級で学んだ仕訳の知識がそのまま活用されます。
2. 試算表の作成・確認
記帳した内容をもとに月次の試算表を作成し、
数字に誤りがないか確認します。
クライアントへの月次報告資料の基礎になります。
3. 決算書の作成補助
年次決算時に損益計算書・貸借対照表を作成します。
税理士の指示に従いながら、
決算整理仕訳の入力・財務諸表の取りまとめを担当します。
簿記2級の第3問(財務諸表作成)の知識が直結します。
4. 税務申告書の作成補助
法人税・消費税・所得税などの申告書作成を税理士の指示のもとで補助します。
税法の知識は簿記試験では学ばないため、入所後に習得が必要な分野です。
5. 給与計算
クライアント企業の社員の給与計算を代行します。
社会保険・所得税の控除計算が含まれます。
6. 年末調整・確定申告補助
12〜3月は繁忙期で、年末調整・確定申告の補助業務が集中します。
多数のクライアントの書類を処理するため、正確さとスピードが求められます。
7. 巡回監査
担当するクライアント企業を月1〜2回訪問し、帳簿や伝票をチェックします。
経験を積んだスタッフが担当することが多く、コミュニケーション力も求められます。
経理職との違い【比較表】
| 項目 | 会計事務所 | 一般企業の経理 |
|---|---|---|
| 担当クライアント | 複数(20〜50社など) | 自社1社 |
| 業務の幅 | 記帳〜税務申告まで幅広い | 仕訳〜決算まで(税務は税理士に外注) |
| 習得スピード | 多様な業種を経験できるため速い | 自社の業種に特化した深い経験が積める |
| 繁忙期 | 12〜3月(確定申告・年末調整) | 決算月(3月決算なら4〜5月) |
| 税務知識の習得 | 業務で自然に学べる | 自発的な学習が必要 |
| 未経験の入りやすさ | ○(未経験歓迎が多い) | △(中小企業なら入りやすい) |
| 税理士を目指す場合 | ◎(実務経験として認定) | △(経理経験は認定されない場合あり) |
会計事務所に転職するメリット
メリット1:未経験でも入りやすい
会計事務所は実務経験がなくとも簿記2級があれば応募のハードルをクリアしやすく、
非常に就職しやすいという特徴があります(税理士転職日誌・公認会計士監修)。
多くの会計事務所が未経験者を育てる体制を持っており、
「税理士を目指したい」という意欲をアピールすることで選考を通過しやすくなります。
メリット2:多様な業種の経理を経験できる
一般企業の経理では自社の業種の処理しか経験できませんが、
会計事務所では飲食・建設・小売・医療など複数の業種のクライアントを担当するため、
幅広い会計処理を短期間で習得できます。
メリット3:税理士資格の実務経験として認定される
税理士試験に合格した後、税理士として登録するには「2年以上の実務経験」が必要です。
会計事務所・税理士法人での勤務がこの実務経験として認定されます(一般企業の経理は認定の対象外の場合もあります)。
将来の独立を視野に入れている方には特に重要なポイントです。
メリット4:勤務年数に応じた昇給が期待できる
会計事務所は「1年勤務ごとに月給1万円昇給」という慣行のある事務所が多く、
長期勤務と上位資格の取得で収入が伸びやすい職場です。
税理士科目に合格するたびに資格手当が加算される事務所も多くあります。
会計事務所転職のデメリット・注意点
デメリット1:12〜3月の繁忙期の負担が大きい
確定申告・年末調整・決算が重なる12〜3月は残業が増えます。
事務所によっては土日出勤が発生する場合もあります。
面接時に「繁忙期の残業は月何時間程度か」を確認することを強くおすすめします。
デメリット2:初年度の年収が低い傾向がある
未経験入所時の年収は280〜350万円と、一般企業経理より若干低いケースがあります。
ただし税理士資格の取得と勤務年数で大きく上昇するため、長期的には収入が伸びやすい職種です。
税理士転職日誌の調査では会計事務所転職時の平均年収は約547万円とされています。
デメリット3:事務所の所長によって環境が大きく異なる
会計事務所は小規模な職場が多く、所長税理士の人柄・方針で職場環境が決まります。
「残業が多い」「教育体制がない」「人がすぐ辞める」という問題のある事務所も存在します。
エージェントを通じて内情を事前に確認することが重要です。
会計事務所の選び方【5つのチェックポイント】
チェック1:教育体制の有無を確認する
未経験で入所する場合は「OJT(先輩が指導してくれる)体制があるか」が最重要です。
資格要件すら求めない会計事務所はブラックの可能性があるため(税理士転職日誌調査)、
「未経験歓迎・税理士受験者歓迎」と明記している事務所を選びましょう。
チェック2:税理士受験のサポートがあるか
税理士を目指す場合は「受験期間中の残業免除」「資格手当」「試験日の有給取得」などのサポート制度がある事務所を選ぶことが重要です。
こうした制度があると学習と仕事の両立がしやすくなります。
チェック3:担当クライアント数が適切か
一人あたりの担当クライアント数が多すぎると学習時間が取れなくなります。
「1人あたり何社担当するか」を確認し、20〜40社程度が一般的な目安です。
60社以上は負担が大きすぎる場合があります。
チェック4:業種・規模の多様性
将来的なキャリアアップのために、多様な業種・規模のクライアントを担当できる事務所を選ぶと経験の幅が広がります。
特定業種(医療法人・農業など)に特化した事務所は専門性が身につく一方、転職の際に汎用性が低くなる場合もあります。
チェック5:離職率・在籍年数を確認する
エージェントを通じて「平均在籍年数」や「直近の離職状況」を確認します。
人がすぐに辞める事務所は環境に問題がある可能性が高いです。
逆に、10年以上勤務しているスタッフが複数いる事務所は安心感があります。
年収・待遇の相場
| 状況 | 年収目安 |
|---|---|
| 未経験・簿記2級のみ(20代) | 280〜350万円 |
| 勤務3年・簿記2級のみ(30代) | 350〜450万円 |
| 税理士試験1〜2科目合格 | 350〜500万円 |
| 税理士試験3〜4科目合格 | 450〜600万円 |
| 税理士登録・経験5年以上 | 600〜800万円(独立で1,000万超も) |
| 会計事務所全体の平均年収 | 約547万円(税理士転職日誌調査) |
税理士試験の科目合格ごとに資格手当(月1万円/科目が相場)が加算される事務所が多く、
長期的には年収が大きく伸びる職場です。
転職成功事例
事例A:SEから会計事務所へ(20代・年収50万円アップ)
IT系企業でSEとして働いていた20代女性が、
財務会計システムの開発を通じて会計業界に興味を持ち、
簿記2級取得後に会計事務所へ転職。
IT知識と会計知識の組み合わせが評価され、
入社時年収が50万円アップしました(MS-Japan転職事例)。
事例B:営業職から会計事務所へ(30代・未経験)
営業職を10年経験した30代が、簿記2級を取得して会計事務所に転職した事例。
「営業経験でのコミュニケーション力+簿記2級の知識」を組み合わせてアピールし、巡回監査担当として採用されました。
会計事務所への転職活動の進め方【ステップ別】
ステップ1:専門エージェントに登録する
会計事務所の転職では、一般の転職サイトよりも会計・税務に特化したエージェントの活用が特に効果的です。
理由は2つあります。
①会計事務所の非公開求人が多いこと(良い事務所ほど公開求人が少ない)
②事務所の内情(所長の人柄・教育体制・残業実態)をエージェントが把握していること、です。
おすすめのエージェントはMS Agent(MS-Japan)とヒュープロです。
両方に無料登録して、求人の幅を広げることをおすすめします。
ステップ2:志望動機を準備する
会計事務所の面接でほぼ必ず聞かれるのが「なぜ会計事務所を選んだのか」「税理士を目指していますか?」という質問です。以下のような回答が選考を通過しやすいです。
- 「簿記2級取得をきっかけに会計・税務の専門性を本格的に身につけたいと考え、複数のクライアントを担当できる会計事務所への転職を決意しました」
- 「将来的に税理士資格を取得したいと考えており、実務経験を積める環境として選びました。現在は税理士試験の○○科目の学習を進めています」
税理士を目指していない場合でも、「会計・税務の専門家として長期的に携わりたい」という意欲を伝えることが重要です。
ステップ3:事務所の内情をエージェント経由で確認する
求人票だけでは分からない「実際の残業時間」「スタッフの平均在籍年数」「所長の人柄」「研修制度の実態」を、エージェントを通じて確認します。
良いエージェントはこうした情報を豊富に持っており、ミスマッチを防ぐための情報提供をしてくれます。
ステップ4:面接では「素直さ」と「長期志向」をアピールする
会計事務所の採用担当者(所長税理士)が重視するのは「長く働いてくれるか」「素直に学べるか」です。
資格・経歴だけでなく「この人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらえる印象を大切にしましょう。
会計事務所への転職に向いている人・向いていない人
向いている人
- 税理士・会計の専門家を目指したい人
- 多様な業種・規模の会社の経理を経験したい人
- 数字の正確さを重視する仕事が好きな人
- 長期的なキャリアを一つの職場で積み上げたい人
- クライアントとの対話(巡回監査)が好きな人
向いていない人
- 12〜3月の繁忙期に強いプレッシャーがかかる環境が苦手な人
- 自社のビジネスに深く関わりたい人(会計事務所は外部支援の立場)
- 短期間で大幅な年収アップを望む人(初年度は低め)
- チームで動く大組織の経理が好きな人(会計事務所は少人数が多い)
簿記2級取得後のキャリアロードマップ(会計事務所ルート)
| 時期 | 目標 | 年収目安 |
|---|---|---|
| 1〜3年目 | 記帳代行・試算表作成を一人でこなせる / 税理士試験1〜2科目合格 | 300〜420万円 |
| 3〜5年目 | 決算書・税務申告書の作成を担当 / 税理士試験3〜4科目合格 | 420〜550万円 |
| 5〜10年目 | 複数クライアントの主担当 / 税理士試験5科目合格・税理士登録 | 550〜700万円 |
| 10年以上 | 独立開業 or 大手税理士法人への転職 or マネージャー昇進 | 700万〜1,000万円超 |
会計事務所は「働きながら税理士を目指す」という長期的なキャリア設計に最も向いている職場です。
簿記2級を持っている今が、このキャリアパスに乗るための最適なタイミングです。
転職の具体的な準備・職務経歴書の書き方・転職エージェントの選び方については、このブログの「簿記で稼ぐ」カテゴリの他の記事でも詳しく解説しています。
転職前に準備しておくこと【チェックリスト】
- 簿記2級合格証書の保管・コピーの準備(面接・入所後に提示を求められることがある)
- 志望動機の言語化(なぜ会計事務所・なぜ税理士を目指したいのか)
- MS Agent・ヒュープロへの無料登録(2社以上に登録することで求人の幅が広がる)
- 使用経験のある会計ソフトがあれば履歴書に記載(freee・弥生・マネーフォワードなど)
- 税理士試験の受験科目・学習状況を整理しておく(受験予定がある場合)
- 希望条件の優先順位を決める(年収・残業時間・通勤・規模・受験サポートの中から)
会計事務所への転職は、簿記2級という資格を最も直接的に活かせるキャリアの入口です。
「まず話を聞いてみる」だけでも、自分に合う事務所がどこかが分かります。
エージェントへの相談は無料なので、ぜひ一歩踏み出してみてください。
会計事務所転職でよくある疑問Q&A
Q. 税理士を目指していなくても会計事務所に転職できますか?
できます。ただし「なぜ会計事務所を選んだのか」という志望動機が問われます。
税理士を目指さない場合でも「会計・税務の専門性を身につけたい」「多様な業種の経理経験を積みたい」という動機を明確に準備しておくと選考が通りやすくなります。
Q. 会計事務所と税理士法人の違いは何ですか?
業務内容はほぼ同じです。税理士法人は複数の税理士が共同で設立した法人形態で、
規模が大きい傾向があります。個人事務所(会計事務所)は所長税理士1人で運営しているケースが多く、よりアットホームな環境が多いです。
規模・環境の好みで選んで問題ありません。
Q. 会計事務所から一般企業の経理に転職できますか?
十分可能です。会計事務所で複数業種の経理処理を経験したスタッフは、
転職市場での評価が高く、一般企業経理への転職で年収アップを実現するケースが多くあります。
特に月次決算・決算書作成・税務申告の経験を持っていると、
中堅〜大企業の経理への転職がスムーズです。
まとめ
- 会計事務所・税理士事務所は簿記2級+未経験でも転職しやすい職場。未経験OKの求人数が簿記2級保有者向けは3級保有者の5倍以上
- 仕事内容は記帳代行・試算表作成・決算補助・税務申告補助・給与計算・確定申告補助・巡回監査の7種が中心
- 一般企業経理との最大の違いは「複数クライアントを担当」「税務知識が業務で身につく」「税理士実務経験として認定される」
- 事務所選びのポイントは教育体制・受験サポート・担当社数・離職率
- 未経験時の年収は280〜350万円が目安。税理士科目合格で大幅アップ。会計事務所全体の平均年収は約547万円
- 転職には経理特化エージェント(MS Agent・ヒュープロ)の活用が特に有効
「簿記2級を取ったが経理の実務経験がない」という状況で、
最初の一歩として最も入りやすいのが会計事務所です。
税理士を目指す方にとっては実務経験の積み場所としても最適な職場です。
会計事務所の求人は全国に数万件あり、地方でも求人が豊富です。「地元で働きたい」「通勤時間を短くしたい」という方にとっても、会計事務所は選択肢の多い職場です。
転職エージェントを通じて地域・規模・受験サポートの条件を絞り込み、自分に合った事務所を見つけましょう。
詳しい求人情報・エージェントの比較については別記事でまとめています。